オチも意味も何もない、ただ暗いだけの、めちゃくちゃ短い話です。
ロックオンが目覚めるとき(with アレルヤ)
希望と絶望。
せめて第1シーズン終わりに、それぞれがちゃんと現状に納得して、みんなそれなりに幸せになっててほしいと切実に願います。
無からの浮上。
それはいつも唐突な、しかし確実な我の帰還。眠っていた脳が状況把握を求めてゆったりと活動を始める。
まず働いた五感は聴覚だった。心地よいリズムを作り上げる電子音がごく自然に耳の中に入ってきて、彼は困惑した。
――病室?いや、医務室か。
なぜ。どこか怪我をしたのか。
そこまで状況把握できた瞬間、いきなり大量の情報が意識になだれ込んできて思わず小さなうめき声を上げた。大量のデータを処理しきれず、脳が悲鳴を上げたのだ。一番印象が強いイメージは、禍々しささえ感じる紅いひかり。
「ロックオン?」
突如として自分の世界に入ってきた、心配そうな響きを持つ声に――もともと近くにいたのだろうが――軽く驚きを覚えて、その声の主の名をつぶやく。か細く、掠れて力無い自分の声に一番驚いた。が、アレルヤはちゃんと聞き取ってくれたらしい。安心したような吐息とともに、再び彼の口からこぼれ落ちる自分の名。なぜかすごくほっとした。
「ほんとに、よかった…。ちょっと待ってて」
そう言うと、彼がベッド脇に置いてあるらしい椅子か何かから立ち上がって、その場を離れたようだった。ちょっと慌てていたのか、何かを蹴る――または、何かに蹴躓く――音がしたが、その後再び静かに響く機械音のみの世界となる。
やっぱりここは医務室なのか。プトレマイオスには簡易的な医療設備がある。医者が常駐しているわけではなかったが、軽いオペならできるだろう。しかし、アレルヤは一体どこに何をしにいったのだろうか。
ゆっくりと目を開く。違和感は何も無い。よかった、目に何かあったわけではないらしい。視界に映る世界にも違和感はなかった。ここは病室なのだから、世界は白くなければいけない。たとえそれが偏見であろうとも、今そう考えることがまずいわけではない。なぜなら今見える世界はすべて白いのだから。
ふいに電子音以外の音が聞こえてロックオンはそちらに意識を向けた。ついでに首を回してそちらを向く。そこには予想にたがわず嬉しげに、でもちょっと悲しそうに微笑んだアレルヤの姿。
…悲しそう?どうしてそう感じたのか。
「ロックオン、水持ってきたけど飲みます?」
それはとてもありがたい心遣いだった。どれだけ寝ていたのかわからないが喉が渇いて仕方が無い。
アレルヤに同意を示す代わりに腹筋に力を入れて上半身を起き上がらせる。いつものように両腕で支えようとして、
――バランスを崩した。
「うぇ?」
「ちょ、ロックオン!」
状況把握できていない自分の素っ頓狂な声と、慌てたアレルヤの声。どことなく可笑しい。しかし、可笑しいなど言っている場合でもなかった。何故か右側――アレルヤが居る側だ――に倒れこむ体を止められず、やわらかいシーツの中に再び沈み込んだ。右頬から突っ伏したため、鼻腔にふんわりとやさしい香りが届き、少し安心した。シーツはすべて一緒に洗濯されているため、すべて同じ香りがするのだろう。いつもの香りだ。
そう考えている反面、すごく嫌な予感がする、と彼は目を閉じた。
右肩から倒れこんだのに、あるはずの圧迫感がないのだ。
「右腕が…」
なんどもなんども、ひきがねをひいてきたてが。
その静かな衝撃を飲み込むのと、すべてを思い出し、理解するのと、アレルヤが水の入ったグラスを手近な台に置いて自身に戸惑いがちに触れるのと、そしてアレルヤから連絡をもらったらしいスメラギたちが軽い音を立てた扉の向こうから入ってきたのは、すべて同時であった。
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暗!!
とにかく、その後どうなったのかだけでも自分の中でイメージにしておかないと死にそうだったので(私が)
彼らは世界を変えるために命をかけて戦っているんですよね。命をかけるくらい必死なのに、そのために一番必要なものを失ってしまったらどうするんだろう。
その立場に立ってしまったロックオンと、それに気づいているからロックオンの目覚めに完全には喜べないアレルヤ。安心はしてますけど、やっぱり大切な人なので。
でも、これだけ考えさせてくれる(文章力が無いので書いている内容はとても稚拙ですが)話は、ほんとうにすばらしいと思います。今まで表面だけで生きてきた人間(それが私)にとっては、とてもいい薬である気がします。ロックオンありがとう。
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